なぜ日本から「宇宙航空分野」の「人材開発」か?
1.13兆円、10%成長、新興国でも10年後には4倍の市場
世界の宇宙関連の民間産業は、過去5年間で毎年平均10%を超える勢いで成長し、自国の衛星を早急に保有利活用したい新興国も追随していて、それがほぼ欧米による独占状態になっています。今後約15年間で宇宙関連産業全体20兆円、宇宙関連サービスで8000億〜2兆円規模の産業になるとの内閣府・経産省の試算もあります。
2.宇宙事業の民営化と商業利用の加速
政府と民間のデュアルユースが難しい日本は、欧米諸国に技術を提供しているがプレイヤーとしては圧倒的に劣勢であり、内閣府主導のもと宇宙関連法案を整備して宇宙産業市場への参入を急ピッチで進めていく方針を打ち出し、動き出しています。2008年の宇宙基本法により、宇宙技術をソリューションとして利活用する実証実験の取り組みが独立行政法人等でスタート、通信関係に積極的に活用され、地球観測衛星をはじめとしたリモートセンシング分野においての商業活用も進んでいます。今後も宇宙開発の民営化、リソースの活用を加速させる流れは続き、加速度的に宇宙航空関連ビジネスが勃興していきます。
3.市場規模拡大への期待と人的リソース不足の構造的課題
現在の日本国内における宇宙関連事業者は約3万人程度で、異業種からの宇宙航空関連事業参入に伴い人材ニーズが高まっています。しかし、もともと宇宙産業の約9割は政府やJAXA(宇宙航空研究開発機構)などの国主導の事業だったこともあり、また学生の理系離れ、理系学生の金融業界やコンサルティングファームへの就職などにより、圧倒的にミドルレンジ以下のソリューション・エンジニアや開発エンジニアのリソースが不足している現状があります。
4.宇宙航空産業はレガシー・テクノロジーがベースのイノベーション
宇宙航空産業で求められる技術は、動作性やアウトプットにおける安定性が従来の商材よりも求められるため既にコモディティ化しているモジュールの組みわせでイノベーションが求められています。従って既存の産業からの移転による人材をベースに、大いに開発余地のある産業であり、宇宙航空関連のクラスタは既存の産業からの事業転換により参入可能な市場であり、そこに対して「コアとなる人材を供給していく」ということは喫緊の社会課題であると私たちは考えています。